陰関数定理

最適化を考える時に 陰関数定理とラグランジュの未定乗数法を考える事が多いので,これらについて紹介したいと思います.

今回は二変数の場合の陰関数定理について紹介します.

定理
 {F: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}} {F(x_0,y_0)=0}を満たし, {(x_0,y_0)}の近傍 {U}で微分可能で {x,y}ともに偏微分が連続で, {\frac{\partial F(x_0,y_0)}{\partial y} \neq 0} とする.この時,ある {x_0}の開近傍 {V}上定義され, {f(x_0) = y_0}となる関数 {f:V \to \mathbb{R}}で,任意の {a \in  V}上, {F(a,f(a)) = 0}を満たすものが存在する.

これを証明します.存在を示すので,具体的に構成できればよいわけです.

まず偏微分が連続であることと, {
(x_0,y_0)} の近傍で微分可能であることから,  {
(x_0,y_0)} を含む {
\mathbb{R}^2} の開近傍 {
U'} 上で, {
(x',y') \in U'} に対し, {
\frac{\partial F(x',y')}{\partial y}} は符号が全て同じとなるものが存在します. 符号はひとまず正とします.(負の場合は {
-F} をとればよいです)

これにより,  {  y \lt y_0} 上,  {
F(x_0,y)  \lt 0  } となり,逆に {
y>y_0} {
F(x_0,y) > 0} となります.  {
 F} の連続性から,十分小さい開近傍を取ると, {
y > y_0} で, {
0 \lt F(x_0,y)} {
F(x,y)} は符号が変わらず,  {
y \lt y_0} でも 同様となります.そのため, {
x} を固定すると {
\frac{\partial F(x,y)}{\partial y}} は単調増加で符号が変わることから,任意の {
x} に対し,ただ1つの {
F(x,y)=0} となる {
y} が存在することがわかります.

よって関数 {
f:V \to \mathbb{R}} {
f(x)=y} と定めればよいです.

さらに,これは微分可能であることもわかります.

証明は平均値の定理を使うことで出ます.

// コードブロック